相似と共円
今回は、数オリやOMCなどでありそうな求値幾何の問題を解いていきます。それでは、よろしくお願いします。
問題
円 \(\Gamma\) に内接する三角形 \(ABC\) は \(AB=5, BC=7, CA=8\) を満たす。 \(B,C\) から対辺へと降ろした垂線の足をそれぞれ \(D,E\) とし、直線 \(DE\) と円 \(\Gamma\) が二点 \(X,Y\) で交わった。このとき、線分 \(XY\) の長さを求めよ。
解法は様々ですが、今回は重要なテクニックが詰まっている解法で解説しています。
解説
解答:\(\frac{4\sqrt{170}}{7}\)
余弦定理より、\(\angle{A} = 60 ^\circ\) である。よって、\(AD = \frac{5}{2}, \ AE = 4\) である。
四点 \(B,C,D,E\) は共円であるから、円に内接する四角形の性質より \(\angle{B} = \angle{CDX}\) を得る。 また、四点 \(A,B,C,X\) も共円であるから、\(\angle{B} = \angle{CXP}\) を得る。ただし、点 \(P\) は 半直線 \(AX\) 上の \(X\) に関して \(A\) でない側にある点である。 よって、\(\angle{ADX} = \angle{AXC}\) を得る。 これと\(\angle{XAD} = \angle{CAX}\) を併せて、\(\triangle{ADX} \backsim \triangle{AXC}\) を得る。 相似比を考えることによって、\(AD : AX = AX : AC\) であるから \(AX = \sqrt{AD \cdot AC}\) である。同様にして、\(AY = \sqrt{AE \cdot AB}\) も得られる。 よって、\(AX = AY = 2\sqrt{5}\) である。(\(\triangle{AXY}\)は方べきの定理より、\(AE \cdot AB = AD \cdot AC\) が成り立つから必ず二等辺三角形となる。 或いは、半径 \(AD \cdot AC\) の反転で不変であることからも分かる。)
\(\angle{AXY}=\angle{AYX}=\theta\) とする。このとき、円 \(\Gamma\) の半径を \(R\) とすれば、正弦定理より \(2R = \frac{XY}{\sin{(\pi - 2\theta)}} = \frac{2\sqrt{5}}{\sin{\theta}}\)が成り立つ。 ここで、\(R=\frac{7}{\sqrt{3}}\) であるから、\(\sin{\theta} = \frac{\sqrt{15}}{7}, \ \cos{\theta} = \frac{\sqrt{34}}{7}\) を得る。 よって、\(XY = \frac{4\sqrt{170}}{7}\) である。